本シリーズでは知っているようで知らない、文章中の記号の選び方についてシェアします。今回は「…」(三点リーダー)と「—」(ダッシュ)です!
この記事で分かること
- 余韻を示すなら「…」(三点リーダー)を2の倍数で使うのが基本
- 「・」(中黒)は区切りなどに使う
- 箇条書きなら「•」(ビュレット)を使おう
- 余韻のダッシュ表現には、全角の「—」(ダッシュ)を
- 「ー」(長音符)の2連をダッシュ2連に変換する辞書登録が便利
- 文字組み時にはさらに手を入れる必要もある
三点リーダーの使い方とは?
困ったときの伝家の宝刀、「…」こと三点リーダー。人によって表記がまちまちで、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
もっともベーシックな形は「……」と、「…」を2つ繋げての表記。2倍三点リーダーとも呼ばれます。タイトルや見出しでは単体「…」がOKでも、本文中では「……」と2点セットがハウスルールの出版社も多いです。
避けたいのは混同させること。タイトル・見出しでは1点使い、本文は2点使いをマストとするなど、レギュレーションを定めるのが◎。ただ、語尾の余韻としてではなく、「文章中の記号の扱いは(…)基本を知っておくべきである」のように、中略や前略として使用するときには1つだけで使うことが多いですね。
使い方の例。最後の「。」のない「……」は、節が変わる直前の余韻を示すときに用いられる表記の1つ。
巷でよく見る..三点リーダー?
「・・・」のように、「・」(中黒・中点)を3つ使って三点リーダー代わりにするのは、あまりありません。絶対NG!ではありませんが、とくに小説など、文章がメインのシーンでは使われないようです。
「‥」(二点リーダー)は間違いではないですし、中黒3つ使いほどではないものの、現代ではめずらしい表現。三点リーダーを使った方が、読者の気は散らないかもしれませんね。
またコミュニケーションツールでは、「.」(ドット)や「。」(句点)などを3連続して表現することも多々ありますが、作品では避けたほうが良いかもしれません。
箇条書きなら「ビュレット」
「・」(中黒・中点)を単体で使うシチュエーションは、「漫画・アニメ・ゲーム」のように並列を示したり、「ハリー・ポッター」と人名の区切りに使ったりと、さまざまありますね。
さらに箇条書きでも用いる人も多いでしょうか。しかし、箇条書きなら「•」(ビュレット)がよりおすすめ!
中黒より少し大きく、箇条書きのなかに区切りとして中点を使っても、整理された印象を保てます。
極端な例ですが……違いは一目瞭然ですね。
ちなみにビュレットは、圏点としても使います。圏点とは、文を強調するときに文字の上に付いている点々のことです。
中黒とビュレットの使い分けもできると、より一段とプロっぽくなるはず。
前回の波ダッシュとチルダ(リンク)よりは、シンプルかつぱっと見で見分けられるので簡単かと思います。日常生活では意識し過ぎると疲れてしまいそうですが、ぜひ作品づくりで参考にしてくださいね。
ダッシュと間違えやすい長音符
「ダッシュの正確な使い方なんて知らなかった。そう、今日までは——」。と、三点リーダー同様、つい頼りたくなるのが「—」(ダッシュ)ですよね。
こちらは三点リーダー以上に、余韻として使う際は2倍以上で使うのが通例です。
「そんなことは知っている——」という人が多いかもしれませんが、全角ダッシュ記号ではなく、「ー」(長音符)や「_」(アンダーバー)を繋げて使っているのを、筆者はよく目にします。
なぜ長音符を使うべきではないのか。よ〜く観察すると、書き始めにカギのような部分があります。これではまっすぐな棒状になりません。そして、離れて表示される「ーー」ので、単に語尾を伸ばしたいだけなのかどうなのか、非常に読み分けづらくなってしまいます。
左=ゴシック、右=明朝
拡大してみると装飾部分がよくわかります。
アンダーバーは縦組みだとなお顕著ですが、文字組みとして大幅にずれてしまいます。横組みでも同様で、「そうか__?」と、余韻ではなく、穴埋め問題状態に。
しかし、いちいち呼び出すのが面倒であるのも事実。おすすめは、「ーー」と入力したら「——」へと変換できるように辞書登録しておくと吉。
似た記号がたくさんあって、どれがダッシュかわからない! そんなときは、全角ダッシュのウィキペディアのページなどからコピペ! もしくは「全角ダッシュ 打ち方」などで検索してみてみてくださいね。
ダッシュ記号の落とし穴
さらに気をつけたいのは、文字組みのとき。実は正しいダッシュを使っても、フォントや設定によっては繋がらないこともあります……。そのためダッシュ同士のアキ量には注意が必要です。
例としてダッシュと、ダッシュ代わりによく用いられる「―」(水平棒)、長音符を調整なしで表記したものを2つのフォントで用意したのがこちら。
游ゴシックでは水平棒に、小塚ゴシックではダッシュに隙間ができてしまった例
くわえて厄介なのが、このダッシュ記号は和文だとビミョ〜にセンターからズレがちなこと。対策として、ダッシュのベースラインすべてに調整する設定をくわえたり、あるいはダッシュすべてを水平棒に変換した上で長さ調整の設定をくわえたり……。ケースバイケース、また人それぞれだったりするのが実情です。
工夫が必須のダッシュ表現。テキストデータとしてはまず記号のダッシュに統一して、追い追い整形できるように備えておくと大事になりませんよ!
横棒らしき文字・記号は、びっくりするほど種類があります。すべての意味を把握するのは困難ですが、よく使うものに関しては把握しておくと効率&見栄えにメリハリが出そうですね。