本シリーズでは知っているようで知らない、ベーシックな記号の選び方について解説します。今回は「」(カギ括弧)と『』(二重カギ括弧)についておさらいします♪
「」と『』の優先順位
文章を書くうえで、必ず登場するといっても過言ではない「」(カギ括弧)。小学校でも使い方を習いますが、雰囲気でなんとなく使っている人も多いのではないでしょうか。
大前提は、「」が先。この「」中に、さらにカギ括弧で括りたいときに『』を使用します。いきなり『』を使うのは、作品名を示すときのみです!
このルールは文章表現の「基本の“キ”」。徹底できていなかった方は、これを機にぜひ習慣付けてくださいね。
「」と『』と「“”」「〝〟」の使い分け
上記文章の「基本の“キ”」のように、カギ括弧以外に「“”」(ダブルクオォーテーション)や「〝〟」(ダブルミニュート)を使いたいこともありますよね。
「“”」と「〝〟」についての詳細は次回記事で解説しますが、ここでは基礎的な使い分けを紹介します。
- 句点(。)が入る、2文以上の台詞をくくる場合は「」(カギ括弧)を使う
- 「」(カギ括弧)中に強調したい単語は、『』(二重カギ括弧)か、「“”」(ダブルクオォーテーション)や「〝〟」(ダブルミニュート)を使う
- 地の文では、強調したい単語や引用的に扱いたい1文の短い台詞をくくるのは、「」(カギ括弧)でも、「“”」(ダブルクオォーテーション)や「〝〟」(ダブルミニュート)でもOK
- ひとつの作品・文章中で使い分けのルールを定めて運用する
強調したいワードや造語はダブルクオォーテーションやダブルミニュートで、台詞はすべてカギ括弧で示すのが一般的によく見られる運用です。
ただ、どの括弧を使うにしても、乱用してしまうと野暮ったい印象を与えがち。小説の台詞で用いるカギ括弧以外は、多くなりすぎないように整理するのがおすすめです。
「大カギ」と「小カギ」
「大カギ」「小カギ」はなかなか知らない人も多いかもしれませんが、実は商業出版物では使い分けられていることもしばしば。
「大カギ」は「」の両辺の長さに差があるもので、「小カギ」は「」の両辺の長さがほぼ等しいという違いがあります。
ただ、「小カギ」は実装されていないフォントも多数。そのためプロの現場では、合成フォントによって表現していることも多いようです。
小カギを使用するメリットは大きく2つあります。純粋に「」や『』をすべて小カギで代用することで、全体的にスッキリとした文字組みを行えるのがひとつ。
もうひとつは実用的な使い分けで、『』は作品名などをくくるときのみに使用し、「」中でさらに台詞をくくりたい場合に小カギを用いるというものです。
この使い分けを実行したい場合は、文中で使わない括弧類(例:{})で小カギの部分を入力し、あとから正規表現で整えると◎
今回のポイント
- 「」(カギ括弧)が先、『』(二重カギ括弧)があと
- 「“”」(ダブルクオォーテーション)や「〝〟」(ダブルミニュート)も一緒に使いわけよう
- 「大カギ」と「小カギ」を使うケースも
あまりに身近な存在であるがゆえに、「なんとなく……」で扱われがちなカギ括弧。いつも使う記号だからこそ、あらためて使い方を復習してみてくださいね。