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同人イベントでお客さんと何を話す?作品購入につながるコツ|声掛け・呼び込み

脱稿した! 入稿した! 荷物も発送した!
よーし、あとは同人イベント、楽しむぞ~~~!!

……お 客 さ ん と
何 話 し た ら い い か わ か ら な い !!!!

当日スペースの中でこんなふうに頭がまっ白になった経験、誰しも一度や二度あるのではないでしょうか。特に一次創作のイベントだと、何の話題ならお客さんに通じるかパッとはわからないので、緊張度合もひとしおでしょう。

そこで今回は、同人イベントでサークル参加したときのお客さんとの話し方について、同人歴10年の実体験をもとに考えてみました。

この記事でわかること
  • お客さんとの会話のイメトレ例
  • 作品を買ってもらいやすくなるコツ

について、ご紹介しています。

創作やイベントは好きだけど、コミュニケ―ションはちょっと苦手……そんなふうにお悩みの方の参考になれば幸いです!

通常、同人イベント(同人誌即売会)では「イベントは参加者みんなで作るもの」という意識から「出店者」「お客さん/お客様」でなく「サークル参加者(出展者)」「一般参加者」と表現されることが多いですが、当記事では便宜上“お客さん”と書かせて頂きます。

もくじ

話すときのイメトレをしてみる

頭がまっ白になるのは、「事前に何も考えていなかった」「気持ちが高ぶりすぎていたから」というケースがほとんどです。

逆に言えば、シミュレーションさえしておけば、ある程度余裕を持って対応できるということ。簡単な流れだけでもイメージしておけば、心にゆとりが生まれます。

試しに、まずお客さんが来たところから考えてみましょう。

最初は当たりさわりのない話題でOK

こちらが緊張しているように、お客さんも案外緊張しているものです。

なので、始めは軽い挨拶くらいで大丈夫。お客さんが作品をちらちら見つつも遠慮しているようなら、「ぜひごらんください」とお伝えすれば、見本を手に取りやすくなります。

セールストークの上手い人だと、挨拶が終わって早々、「これはファンタジーで……」「主人公とヒロインのラブロマンスがあって……」とスムーズに各作品のみどころが出てきたりします。もちろん、それを目指すのも断然OKです。

私も一度、隣のサークルで売り子さんが立て板に水流すようなセールストークを披露しているのを見ましたが、あれは本当に見事でした。多分事前に何を話すかカッチリ決めていたのだと思います。

ただ、向き不向きがあるのも事実です。セールストークができなくてもイベントは楽しめますから、ご安心くださいね。

興味がありそうだったら作品について話してみる

お客さんがスペースのディスプレイをじっくり眺めたり、見本をしっかり見ていたりするなら、興味を持ってくれているサイン。

特に興味のありそうなものに対して、「これは○○系です」と作品の特徴をお話してみましょう。

作品そのものについてでもいいですし、作るときに大変だったエピソードとかもいいですよね。「このコピー本、ついさっき完成したんです」と言ったりすると、お客さんにもクスッと笑ってもらえます。

話すトピック
  • ジャンル
  • どんなキャラクターが出るか
  • この作品ならではの見どころ
  • 制作時のおもしろ・珍妙エピソード

参考までですが、実際に私が作品についてお話するとき注意しているのは、あまり長く&熱くなりすぎないことです。

自分からすれば手塩にかけた大切な作品なので、つい多くを語りたい気持ちになるのですが……お客さんの時間は有限で、貴重なもの。

それを忘れずに、自分の想いとお客さんの知りたい部分が重なるところから優先してお話するようにしています。

最後は笑ってお見送り

お客さんとの会話が弾み、「じゃあこれください!」と作品を買ってもらえたら~TRUE END~って感じですよね。

だけど現実には、微笑みで会釈して立ち去って行った……~終~、って場合がほとんどだと思います。すごく胸が痛いし、お見送りどころじゃないですよね……本当に、もう、筆舌に尽くしがたいほどよく理解できます。

でも、こんな話をご存じですか? プロの敏腕セールスマンでも、成約率は3割行けばいいそうです。どんなに売れているように見える人でも、10回に7回は断られているんですね。

実際、先ほど例に挙げたセールストークのすごい売り子さんも、100発100中で売れていたわけではありません。出展しただけで飛ぶように売れるのは、ネームバリューのある大手サークルくらいでしょう。

もともと売れないのが普通で、たまに売れたら超ラッキー! そう思ってあえて、「立ち寄ってくれてありがとうございました!」とお客さんを笑顔で見送ってみましょう。某ファストフードばりのスマイルでなくて、微笑み程度で大丈夫です。

感じよく対応できれば、「あとでまた時間があったら寄ってみようかな」と思ってくれるお客さんもいます。逆に「あ、買ってくれないんだ……」というこちらの本音が見えると、相手はまた来づらくなるものです。自分がお客さんの立場になればイメージしやすいですよね。

買ってもらえたときも、そうでなかったときも、最後は笑顔。あらかじめそう決めておけば、案外本番でもスッと対応できます。よかったら試してみてください。

逆に考えるんだ…話さなくっていいさと

「そうは言うけど、作品買って欲しいんだよォー!!」という魂の叫びが聞こえました。

そこで、以前接客のプロから聞き、私がイベントで試して効果のあった方法をシェアします。その方は自身の経営する店をその接客法で成功させて、今ではコンサルタントをしているという本物のプロです。

プロのセールストークなんて、どんだけ大変なんだ……と身構えた方、ご安心ください。めちゃくちゃ簡単です。こちらが話す必要はほとんどありません。

というか、実は、話さないほうがいいのです。

接客のプロほど話すより“きく”

少しでも作品に興味を持ってもらうためには、上手く話さなきゃ! 私を含め、こう考える方は多いと思います。

しかし、売るためのコツを教えてくれた方はこう言いました。

大切なのはお客様の話を、興味を持って“聴く”こと。そして、どうしてそう思っているか・感じているかを“訊く”ことなんです。むしろ、こちらは話さないほうがいいんですよ。

びっくりしましたが、言われてみれば納得です。

例えば気になった服を見にお店に入って店員さんが新作入荷分を勧めようと寄ってきた瞬間、磁石のように離れていきたくなりますよね。

でも、こちらの様子をさりげなく見守りつつ、探しているものが見つからなかったりしたとき「お困りのことはありませんか?」と尋ねてくれたら「実は……」と打ち明けやすくなります。

それで親身に相談にのってくれようものなら、元々買う気がなかったとしても「じゃあこれ頂きます!」とお財布の口を開けてしまう。まさにこういうことだったのです。

確かに上手い話でお客さんを楽しませて買いたい気持ちに持っていくのが得意な人もいますし、それは素晴らしいことです。でも、そういう人しか売れないわけではありません。

話すのが苦手、緊張する……という人は、無理する必要は全くないのです。むしろ、お客さんの話を“きく”のに全振りする。それこそ買ってもらう早道だと、接客のプロは断言していました。

高い作品でも売れる?! 合言葉は「どこに○○○○○頂きましたか?」

そうは言っても、私も話を聞いたあとは半信半疑でした。そこで早速、次に参加した同人イベントで試してみました。

弊サークルには、とびぬけて高い価格設定の作品が1つあります。内容も装丁も妥協したくなかったのですが、同人イベントでポンポン売れる代物ではないと自分でもわかっていました。

でも、それが売れたのです。知り合いでも事前に調べていたのでもなく、ふと立ち寄ってくれたお客さんに。

私がしたことは、いたってシンプル。まずディスプレイを見て立ち寄ってくれたお客さんに、「どこに興味持って頂きましたか?」と訊きました。

そのあとお客さんが「表紙がかわいくて……」「このジャンルが好きで……」と話してくれるのをよく聴いて、こちらが深掘りしていきます。

「こういうイラスト、お好きですか?」「普段からこのジャンル、よく読まれるんですか?」と、どんどん訊いていきます。時々お客さんから質問があるときにはお答えしますが、なるべく短めに切り上げて、その質問から更に掘り下げて尋ねていきます。

意識したのは、質問攻めにならないようにすること。第一にお客さんの話に興味があって気になるから尋ねる、というスタンスでした。売れるかどうかも考えてません。

そうして話していく中で、お客さんがスルっと「これ、ください」と言ってくれたんです。

自然すぎて、「え、いいんですか?! 高いですけど!!」とこちらが狼狽えたくらいでした。それでもお客さんは「大丈夫です!」と力強く頷き、無事お買い上げ頂きました。

もちろん、お客さんが来るたび必ず売れたわけではありません。それでも、その次のイベント、その更に次のイベントでも、同じように対応すると高い作品が売れました。それまでは全然相手にされなかったものが、です。体感としては、勝率3割の凄腕セールスマンになった気持ちでした。

お客さんの話は創作を進化させてくれるSSR素材

この方法のいいところは、作品が売れなくても得るものが大きいところです。

お客さんがなぜ自分のスペースに興味を持ってくれたかの答は、どの部分が相手に届いたかの重要な証言です。ディスプレイの改善の大きなヒントになります。

ディスプレイだけではありません。作品のどういうところが気になったか、普段はどんな作品が好みなのか……質問した内容は、すべて貴重な意見です。

思いもよらなかった長所が見つかったり、「今はそういうのが流行りなのか……取り入れてみよう!」と創作する上での刺激にもなります。一気に経験値が手に入るソシャゲのSSR素材みたいなものですね。

創作は、感想や意見をもらえる機会が少ないのが悩みどころ。同人イベントは、生の声に触れられる絶好のチャンスです。

話すのが苦手でも大丈夫。お客さんの話を聴いて&訊いて、たくさんフィードバックをもらっちゃいましょう!

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