主催者に聞く、「秋田県」の同人誌即売会のリアル|秋田市・大仙市

関東のみならず、各地で増えている同人誌即売会。中には個人が主催するものも多くあります。

今回は、秋田県で「アキケット」を主催するめぐみさん、「だいせんサブカルマーケット」を主催するaimiさんにインタビュー。

「即売会を主催すること」について、その中で頭を悩ませたり、逆に楽しいこととは?など、お話を伺いました。

今回インタビューさせていただいたお二人

秋田でもできるんだな、というのが分かった

――まずはどういったイベントを主催されているのかお聞きしていいですか?

めぐみさん:
アキケットは地方の小さな同人誌即売会でして、一次創作、二次創作、あとは雑貨やハンドメイドその他のジャンルで行っている即売会です。

過去のイベントで同人誌といっしょに、オリジナルキャラクターのイラストをパッケージにした自作のお米を売っている方がいたり、占いをしている方もいました。

aimiさん:
だいせんサブカルマーケットは、秋田県大仙市で行っているオリジナルオンリーの同時即売会です。オリジナル作品であれば、その他でも展示、発表、販売することができます。

画像提供:アキケット

――おふたりはご自身でも創作活動はされているんですよね。

aimiさん:
はい、私は今も一次創作に取り組んでいます。

めぐみさん:
私は学生のときに友だちと一緒に二次創作で即売会に参加したり、今は一次創作で知人と一緒に活動したりしています。

――創作活動をしていく上で、秋田県はどういった環境ですか?

めぐみさん:
創作環境はあるんですけど、仲間を見つけたり、発表したりする場が少ないですね。

即売会というものを知らない人たちが多いんじゃないかな、という印象があります。なので、作品を作りたくても仲間を見つけるのが難しいのではないかな、と。

アキケットの参加者にお話を聞いて「秋田にも創作活動をしている人がこんなにいっぱいいるんだ」と思いましたね。

aimiさん:
私は漫画やイラストを描いたり、ずっと創作活動をしているんですけど、地元にはイベントがなかったので、東京に遠征していました。

地元にもあったらいいよね、と思ったのがきっかけでだいせんサブカルマーケットを始めました。

――おふたりももともと交流があったんですか?

めぐみさん:
もともとではないんですよ。アキケット第2回にaimiさんが参加して。

aimiさん:
第1回は逃してしまって。第2回はすかさず申し込みました。そこで初対面ですね。

――aimiさんもそのイベントに参加されて触発されたところがあったんですか?

aimiさん:
それはもちろんありますね。秋田でもできるんだな、というのが分かったのはめぐみさんがやってくれたからですね。

――誰かが一歩踏み出すのすごい待ちますよね。やっぱちょっと。

aimiさん:
自分でやると思ってなかったので私も。なんか、よくわかんないなと思って人生って(笑)。

小規模だけど熱量はみんな高い

――イベントがないと、という環境だと、最初に主催されるのは大変だったのではないかと思いますが、印象に残っていることはありますか?

めぐみさん:
アキケットの場合は、ツテが全くない状態で始めたんですけど、X(旧Twitter)で即売会のお知らせをしたら、人が集まってくださったので、人を集めるための大変さはなかったですね。

ただ、会場を決めるのが難しかったです。市民センターなどといった公共施設は二次創作を含んだ即売会には厳しかったですし、どこで開催すれば集まってくれるのか、と頭を悩ませました。

画像提供:だいせんサブカルマーケット

aimiさん:
私も会場決めは吟味しました。

でも、公共施設でもできるようにオリジナルオンリーと決めていたので、今は「はなび・アム(花火伝統文化継承資料館)」という市の施設でやらせてもらっています。

イベントがあると、やっぱり会場周辺も活気づいている感じがします。若い人もきますし。ただ、年代はわりと高めですね。会場周辺に住んでいる人が「おもしろそう」と言って観に気てくれることも多いです。

――aimiさんも集客については苦戦せず?

aimiさん:
そうですね。第1回は多くの方に来ていただきました。

――実際にイベントを開催されていかがでしたか?

めぐみさん:
やっぱり発表の場を求めている人が多いな、ということと、小規模ではあるんですけど、熱量はみんな高いな、と感じました。

aimiさん:
同じくですね。

楽しかったです、またやってください、というコメントをたくさんいただいて、またやろう、という気持ちになっています。参加者のみなさんの声はモチベーションになります。

――開催される中で大変だったことはありますか?

めぐみさん:
初めてのときに借りた場所は靴を脱いで座敷タイプの場所だったんですけど、参加者のみなさんにお願いして、テーブルや椅子を運ぶのを手伝っていただいたりとか。最初は「人の手」が必要でしたね。

aimiさん:
私は資金繰りですね。チラシを作ったりだとかして、お金がかかるので、入場料を取らせてもらったりして。

市の若者チャレンジ応援補助金事業1があるんですけど、申請して補助金をもらって、旗を作ったり、プリンターやパソコンといった必要な機材を買わせてもらいました。

――自治体からの補助金っていうのは大きいですね!

aimiさん:
「だいせんサブカルマーケット」を良く捉えてもらっているみたいで。補助金もありましたし、「はなび・アム」さんとの共催事業としてやっていきましょう、と言っていただいたり。

めぐみさん:
「アキケット」では使用する施設にポスターを持っていくと年齢関係なく担当の方が興味を持ってくださるので、受け入れてもらっているのかな、という印象はあります。

あと、イラストコンテストを開催しているんですけど、イラストコンテストの展示場所が秋田県の施設になっています。そこの館長さんが昔二次創作だとか、創作活動をされていた方なんです。県のこちらの施設では二次創作が難しいですけれども、創作としては受け入れてくださっていますね。

施設からの声を受けて開催したイベントも

画像提供:アキケット

――イラストコンテストもそうなんですが、めぐみさんはライブドローイングの企画も立ちあげていらっしゃいますね。

めぐみさん:
こちらもイラストコンテストで場所を借りてる秋田県の施設の館長さんからご提案いただきまして。

絵を描いてるところを発表する場を設けてYouTubeでも同時配信してみない?という形でご提案いただいて、おもしろそうだな、と思って始めさせていただきました。22年に初めて開催して、今年の3月、2年ぶりに2回目を開催しました2

――反響はいかがでしたか?

めぐみさん:
わりといろんな方に見ていただいているみたいで、出てみたいです、という声もいただいています。

あと、絵を描いている手元が見えることがなかなかないので、それが楽しかったです、という声が多かったですね。

aimiさん:
アキケットさんのライブドローイングには演者として出させてもらってるんですけど、とても楽しくて、みんなから応援してもらえてすごくいいイベントだなと思っています。

――出られる側のみなさんの空気はどんな感じなんですか?

aimiさん:
なんだかお祭りみたいで楽しみだね、と話していましたね。緊張するね、とか、終わってほっとした、とか(笑)。

――主催される側としても嬉しいお話ですよね。

めぐみさん:
そうですね。3回目もぜひ同じ施設をお借りしてやらせてもらえたらいいな、と思っています。

即売会を始めるのは「意外となんとかなる(笑)」

――今後、改善していきたいだとか、課題はありますか?

めぐみさん:
やっぱり地方なので、絶対的な母数が少ないんです。

即売会を知らない若い世代が入ってきてくれないと、多分秋田から出ていってしまう人も多いだろうし、続けていくのは人がいないと難しいので。

今後、続けていく上で新しい方にどうやって参加してもらうか、という課題はあります。

画像提供:だいせんサブカルマーケット

――宣伝はどのようにされているんでしょう?

めぐみさん:
やっぱりXメインになっています。あとは近隣の施設さんにポスターを置かせていただいたり。

ただ、個人でやっているイベントでもあるので、あまり規模が大きすぎても自分の手に負えなくなるんですよね。いろんな人に来てもらえるのが一番いいんですけど。

aimiさん:
私はポスターとチラシをつくっています。

あと大仙市内に配られている「D-PRESS」フリーペーパーに載せてもらったり、市報と、地元のコミュニティFMのラジオで宣伝させてもらっていますね。

――すごいですね!

aimiさん:
こういうイベントをやっているんですけど取り上げてもらえないでしょうか、とメールを送って。そういうことに理解のある局長さんだったので番組に呼んでいただきました。

――関東以外の地方に住まれている方でも、今後、即売会を主催してみたい、と思っている方もいるかと思うのですが、経験者として伝えたいことはありますか?

aimiさん:
意外となんとかなる(笑)。

めぐみさん:
ははは(笑)。

小さい規模からまずやってみるのがいいのかな、と思います。あとは交流や創作を楽しむ気持ちをメインでやっていった方が続くんじゃないかな、と思います。

aimiさん:
そうですね、楽しくないとちょっと続けられないかな、とは思います。

めぐみさん:
もしかしたら地方だからこそ、小さい即売会ができるのかな、とは思います。小さい規模からも始めやすいと思うので、迷っている人がいたら、自分の手の届く範囲から始めるのもいいんじゃないかな、と思います。

aimiさん:
私としては、一応目標があって、父から「やるなら10年続けてごらん」って言われているんです。長く愛されるイベントに育てていきたいなと思ってます。

――ありがとうございます! 最後に記事を読んでくださる方にメッセージをお願いします!

aimiさん:
6月1日に「はなび・アム」さんで開催される第2回だいせんサブカルマーケット、きっと楽しいイベントになると思いますのでぜひ遊びに来てください!

めぐみさん:
アキケットは8月4日の即売会よろしくお願いします。

また、即売会以外にイラストコンテストも開催していまして、告知はXでさせていただいて、ご応募いただいた作品は秋田市の会場で展示してインターネットでも見られるようになっていて、そのあと投票してもらう形になっています。こちらは県外や海外の方からもご応募いただくこともありますので、ぜひ参加していただけたらなと思います。

画像提供:アキケット

(取材・文=ふくだりょうこ)

公式X・公式サイト情報

自治体・施設から応援される創作イベント

アキケット(秋田県秋田市)

■第4回アキケット
日時:2024年8月4日(日)11〜15時
会場:秋田拠点センターALVE(アルヴェ)多目的ホールB
〒010-0002 秋田県秋田市東通仲町4-1(秋田新幹線/JR 秋田駅直通 徒歩3分)

■公式サイト
https://sizuemonplanning.wixsite.com/akiketto

■公式X(旧Twitter)
https://x.com/akiketto

※本記事内のめぐみさんのサムネイル画像は「まっちゃアイス」さんのイラストです。

だいせんサブカルマーケット(秋田県大仙市)

■だいせんサブカルマーケット3
日時:2024年6月1日(土)11〜16時
会場:花火伝統文化継承資料館「はなび・アム」2F 大研修室
〒014-0025 秋田県大仙市大曲大町7-19(秋田新幹線/JR 大曲駅から徒歩10分)

■公式サイト
https://daisensubcul.blog.fc2.com/

■公式X(旧Twitter)
https://x.com/daisen_subcul

参考サイト

  1. 若者のチャレンジを応援!〜大仙市を漫画・イラスト文化の発信拠点に〜(大仙市 若者チャレンジ推進室 2023/10/02 公開) – クラウドファンディング READYFOR ↩︎
  2. ブンカDEゲンキ あきた文化情報サイト のライブ配信 アキケット ライブ・ドローイング!vol.2 ↩︎

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