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架空の民族が八人称で喋り出すから始まった|小蛇鳴鳴さんインタビュー

創作活動をされている方のリアルを聞く。今回は小蛇鳴鳴(こへびめいめい)さんにお話しを聞きました!

――まずは自己紹介をお願いします。

サークル名が「メヤトワ出版」で、私は代表の小蛇鳴鳴です。代表とは言っても一人でやっています。

――創作活動をされようと思われたきっかけは何だったんですか?

結果としては「材料が揃ったから」というところでしょうか。

もともと同人関係の方フォローしたり自分が購入したりすることは経験していました。

身近に(創作するという)世界はありましたが、実際に自分が書きたいものがあるのか本という形にまでしたいようなものがあるかというのも。

あと、前の職場が副業に厳しくて実際に利益になるかどうかではなく、お金を得てしまうこと自体が問題視されるところでした。(その後)転職して同人誌を売ってお金を得るっていうことが許される環境になった、というのも大きいと思います。

この三点が揃って初めて本という形にして売ってみようとなりました。

――最近になって創作活動を始められたんですね。

そうですね。活動を始めてからはまだ1年も経っていません。この間1冊目を出したばかりで、半年くらいかけて執筆しました。

――過去に作品を作られたことはありますか?

中・高校と大学生の半分ぐらいまでは小説を書いていましたが、その後は創作からは遠ざかっていました。どちらかと言うと、文字を書くというよりはスマホとかできれいな写真を撮ることに腐心したり。あとは色々やってみようって愚にもつかない動画を作ってみたりだとか。そういう冒険をしつつ、でも創作という形ではやっていない期間のほうが長かったです。

――最初から一次創作だったんですか?

一次創作からですね。

一番最初はというと小学校の授業でお話を書いてみるというような授業があって、その時に自分でも満足できるものが書けたことがきっかけです。そして、隣のクラスの先生がこれいいねって思ってくださって(先生が)クラスで読み上げられた、という話を聞きました。それをきっかけに「なんか話を作るって楽しいのかもしれない」って思い、趣味で書き始めました。

――昔から小説を書くのが好きなんですね。

今出してるものは小説ではありませんが、文章を書くこと自体は好きです。創作に限らずブログを書いたりTwitterとかnoteとかもやってます。文字とか言葉とかが好きで、いろんな形で文章はずっと出しているという生活をしてきました。

――自分でうまく書けてるかもって思う瞬間はあるんですか?

原点に帰ると、小学校の時はクラスの誰よりも長い話を書いたことと、クラスの他の人は「自分のクラスの中でこういうことが起こりました」みたいなお話を作っていましたが、私が書いたのはファンタジーで少しずれたところにいました。

他にも起承転結が自分の中でまとまったり、伏線を回収して無事終わるところまで持っていけたり。そういったところで「もしかして私周りの子よりできるのかも」と、謎の多分過剰な自信を持ってしまいました(笑)。

――現在はどういった活動をされていますか?

この間発売した新刊が語学書でして、架空の民族をつくってその民族が喋っている独自の言語について書かれている本になります。

小説かどうかと言われると、その世界観全体が1つの小説のような感じです。位置づけとして「現実とファンタジーとの間」で、異世界の話ではなく「あるかもしれない」し「ないかもしれない」といった感覚ですね。

「メヤトワ」っていう創作世界はもともと言語を作るところからスタートしています。

私が語学が好きで、いろんな語学をやってきました。そのときたまたま「人称が八ぐらいまである言語なら?」と言ったのをきっかけに、八人称ある言語をしゃべる人たちってどんな生活をしていて、どんな話し方をするんだろうといったところから言語を作り始めたんです。

今まで学んできた言語の学習の中で、気になったこととか面白いなって思ったこととか、疑問だったこととかをいろいろ詰め込んで作っています。私自身が文化人類学や民俗学を学んでいたことがあって、民族として文化を持っている人たちを書く感覚を持っています。

たとえば、いわゆる文化人類学の研究書や語学の教科書で、自分たちが目にしたこともないような言語を学んでいたり、聞いたこともないような民族の本を読んだりするとしますが、その(本の中で出てくる)人たちって実在するんです。

その人たちの住んでいるところはここでこんな生活をしてますとっていうふうに言われて、自分が目にしたわけではないのに「現実感を伴うか」っていうところで、それを創作世界で再現してみたかったんです。

――なるほど、そういう世界観!(笑)

「メヤトワ」という民族があるエイプリルフールを一年中やっている感じです(笑)。

――すごい感覚!良ければ今後の「メヤトワ」の展開を教えてください。

2冊目と3冊目はすでに構想があります。

2冊目は語学とかに触れてない方にも「メヤトワ」というものに興味を持っていただけそうな、ゆるめの読み物を書こうと思っています。私は言語から入って文化に到達するパターンですが、触れたことがない方にとってはそうではないとも感じていて、いろんな方が入りやすいポイントも考えていきたいですね。

3冊目は民話をご紹介する予定です。

――創作活動をされているときに気をつけていることはありますか?

私がいろんな語学に手を出していて一つを極めてるわけでもなく言語学に詳しいわけでもなく、語学書を出しておきながら文法的に間違ってるところが結構あると思います。本当の言語だったら絶対その組み合わせはあり得ないとか、意図しているところ以外にもありそうで、そういったところをどう伝え方で回避していくかですね。

今のところ批判はいただいていないですが、今後アプローチしていく先が増えていったら(読者からの問い合わせといった)対応は出てくるかもしれないと思って恐れています。倫理的な問題として学術界に対する尊敬を欠いていないか、「メヤトワ」が実在するんだと誤認させてしまっていないか、といったところは気をつかっています。

――今回の本を印刷されたときのことを教えていただけますか?

印刷は「製本直送.com」さんを利用しました。私が論文を書いていた頃、自分の書いた論文や文章を一冊の文庫にまとめることができるサービスがTwitterで紹介されていたんです。それでそんなところがあるんだと思って。

一冊からでも印刷できるところと、今回の本のデザインは(漫画ではなく)一般書や実用書として売っていそうな本を目指していましたし、WebサイトのUIも使いやすそうだと思ってこちらに決めました。

――電子書籍で頒布される予定はありますか?

今のところしていないですが、将来的にしようかなと思わなくもないです。

語学学習の今の流れから考えると電子で見ることができたほうがいいけど、(本の)フォーマットとか形とかにこだわりがあって、それを無にしてしまうのは少し惜しい気もしていてどうしようかなと思っています。私はリアルな本が好きで、(紙の)手触りや形が生かせると良いと思っています。

――さいごに、もし伝えたいことがあればお願いします!

私がやってることはどう見ても特殊ですが、この世の中に(メヤトワ出版の作品が)響く人がいると信じていて、響きそうな方向に今後も届けていきたいです。まだ創作活動を始めたばかりで(読者の方々に)目に触れていただける機会が少ないので、ぜひイベントなどで「メヤトワ出版」の本を手に取っていただけたら嬉しいです!

――お話いただきありがとうございました!

現実とファンタジーの間にある「ありそうでない」感。そこを行き来できる世界の奥行きは「メヤトワ」の言語からはじまる実験的な試みなのかもしれません。小蛇鳴鳴さんのチャレンジがこれから続きそうです。(Dounats編集チーム)

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