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私が考える手作り小説本!印刷製本の準備リストをご紹介[データ作成編]

ハードカバーの本も素敵ですが、規格の決まった文庫本ならではの味わいと魅力もあります。

しかし、書店では安価がウリの文庫本も、同人誌として作ろうとすると結構なお値段に……。さらに部数が10部以下となると、対応してくれる印刷所も相当限られてしまいます。

「それでも文庫本を超少数部数で作りたいんだ!」という方も多いのではないでしょうか。そこで過去に筆者が行った、超少数部数の文庫本作成ノウハウを共有いたします。

大まかな流れは、①データの作成、②用紙類の準備、③レーザープリンタで本文を印刷、④キンコーズで製本というもの。当時はトータルの金額として、2部を6,000〜8,000円程度で完成させることができました。

もくじ

準備リスト

まずは、必要なものをリストアップします。

【その1】本文用紙

「本文用紙 通販」などで検索すると相当数ヒットするので、好みや必要量に応じて購入します。金額も2,000円〜ほどと、安価です。

インクジェットプリンタには対応しなくても、レーザープリンタならたいていの場合問題なく印刷可能。

面付けを大きな紙に行おうとすると印刷できる場所が限られてしまうので、基本的には製本サイズよりひと回り大きいサイズで購入しましょう。

注意点は、紙目! T目とY目を確認し、長辺として使いたい向きが上下方向に走るものを選んでください。

参考:T目とY目
https://www.takeo.co.jp/finder/specific/grain.html

【その2】表紙の紙

事前に好みのものを用意しておいてもいいですし、キンコーズなどにある備え付けのものを使ってもよいでしょう。

伊藤屋だと、少数からいろいろな種類の紙を購入できます。東京が近い方なら、実際に店舗に行くのがおすすめ。実物を触りながら選べます。

こちらは本の厚みにくわえ、表1・表4(表紙・裏表紙)も繋がった状態の大きさが必要となるので、大きめのサイズを購入してください。

【その3】レーザープリンタ

安価かつ綺麗に印刷するならレーザープリンタ一択です。筆者は大学生当時に課題として作成したため、大学のレーザープリンタを使用しました。学生の方は、大学に持ち込み用紙を使えるプリンタがないか、ぜひ問い合わせを。

そうした自由に使えるレーザープリンタがない場合は、持ち込み用紙に対応しているキンコーズなどの工房で印刷しますが、モノクロ原稿であれば割安ですよ。

表紙の印刷は必要に応じてカラーオプションをつけてくださいね。

【その4】スピン

スピン(栞の紐)付きを印刷所にお願いするのは予算などの面でも難しいですよね。けれど、実はキンコーズでは持ち込んでお願いすれば一緒に綴じ込んでもらえるんです!

購入も通販で安く入手できますし、なんと無印良品にも「しおりシール5本組」という商品が150円で買えちゃいます。

ただ、製本に精通したスタッフがいないと断られたり、失敗する可能性もあります。大型店舗へ事前に相談するのがベターです。

「想像以上に簡単に作れそう!」と思っていただけたのではないでしょうか。

データ作成

やっとの思いで脱稿! 祝杯をあげたいところですが、実際には入稿まで時間がなくてあたふたと焦っていることが多いのではないでしょうか。

時間が限られたなかでイチからデータを作ると、思いがけないうっかりミスの原因にもなりがちです。

人に依頼するのではなく自ら入稿するなら、原稿の執筆作業と並行して入稿データ作成にも取り掛かるのがおすすめ。

順序は状況や人によって異なる部分も多々ありますが、必要な手順を頭に入れておくだけで、スムーズな入稿に役立つはず!

ページ数のあたりをつける

およそ何文字程度の文量になるかのアタリをつけ、ページ数の概算を計算します。

「初めてしっかりデータを作って入稿するからわからない!」という人は、級数表を使って自宅にある各社の文庫本の「1行あたりの文字数×行数」を測ってみましょう。

見た目や読みやすさで気に入っているものと同じ組み方をしたと仮定して、計算します。
ただ製本をするなら、ページ数は厳密でなくてもOK! 面付けを行わないので、1p単位で自在に調整できます。

この計算に応じて本文用紙の手配を行います。多めに用意しておくべきではありますが、紙は湿度など環境変化に敏感。あまり長期保管はできないものと考えて発注するのが得策です。

表記統一表の作成

文章の完成度を上げるためにもマストな統一表ですが、文字組みをする上でも必須と考えた方がベターです。

文字組みの上では、数字の表記や記号類などが特に目立つミスとなります。

たとえば「“”」は、横組みと縦組みで別の記号を使います! 数字や文中の英文は、単位や桁・文字数によって、表記ルールをそれぞれ定めることが多いので、面倒でもリストアップしておく方が事故を圧倒的に減らせます。

流し込みの前に行うテキスト整形時に漏れが出ないのが肝心。原稿を書きながら、使った記号や数字の書き方などをスプレッドシートなどにメモしてくださいね。

本作りって、本当に大変……。でも、大変な思いをした分だけ、完成度の高いものを目指せるはず。そのための事前準備もぬかりなく行っていきましょう。

仕様の決定

ここまでで判型とページ数もおおよそ決まっています。が、まだまだ決めなければいけないことはたくさん。

表まわりの用紙やカバーなど、素材として手配しなければいけないものはもちろんですが、そのほかのデータもまとめて仕様表を作りましょう。

このときも、お気に入りの書籍をじっくり観察しながら決めていくと、方向性が定まりやすいです。

仕様表の内容例

表まわり

・用紙名/斤量
・印刷仕様(印刷色数や片面or両面、箔押しなど加工の有無)
・サイズ(背の大きさによって変わりますよ)
・グラフィック素材
・表記すべき情報

本文

・用紙名/斤量
・印刷仕様(K一色刷りが基本です)
・版面設計の数字(ノドや小口などのマージン量と、本文の1行の文字数×1ページの行数と級数)
・ノンブルや柱の種類数
・扉類や奥付など、本文以外のページ数と内容
・書体、またフォントの選定

カバー用紙名

・用紙名/斤量
・印刷仕様(片面印刷でCMYKフルカラーが一般的。加工したい人はその情報も)
・サイズ(背にくわえ、「そで」の大きさも必要です)
・グラフィック素材
・表記すべき情報

その他仕様

・スピンや遊び紙など、同時に綴じるもの
・帯
・ページの間に挟むもの(刊行案内や名刺など)

項目が多くて非常に大変そうに見えますが、デザイン作成から入稿までを行うなら、結局すべて必要になること。早めに情報を埋めていくことで、あとあと楽になりますよ。

グラフィックの作成

写真にせよイラストにせよ、画像を配置するなら解像度不足とならないように注意! カラーデータの場合、RGB入稿が推奨されていたり、CMYK入稿のみしか受け付けていないなど、印刷所によって対応は違うので、あらかじめ確認を。

レイアウト時は、大きな元データとは別名で、配置用のサイズダウンしたデータを保存するのも絶対です。

また、単色刷りなどCMYKで刷る以外の場合には、データが「見かけ上の単色」状態になっていないかも気をつけましょう。

流し込み

流し込みの前にはテキスト整形を! ③で作った仕様表をもとに、テキストデータを整えていきます。

使うアプリは好きなもので構わないのですが、必ず一度プレーンテキスト(.txt)に変換しておくこと。

WordやGoogleドキュメントなど、執筆向けのエディタを用いて作成したデータのままだと、「見かけのスタイル」と「実際の情報データ」に相違があることもしばしば。

一度エディタ上の装飾を取り払って、確認するのは外せない工程です。

これら一連の作業を行っておけば、入稿直前に慌てる確率は格段に下がるはず。文庫本の持ち込み作成時以外でも、入稿作業全般に使えるテクニックばかりなので、スケジュール管理の棚卸しにも参照してみてくださいね。

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