紙の小説本を作りたいと思った時に、考えなくてはならないことのひとつが本文のフォントとレイアウト。
インターネットサイトに投稿する際と比べると横書きと縦書きという違いも大きく、出来上がりがイメージしにくい人も少なくないかと思います。
初心者には悩みの種になってしまいがちな小説本のフォントとレイアウトですが、知識を身につけて苦手意識を克服できれば自分の本をどんなふうに仕上げようかを考える楽しい時間に変わりますよ!
この記事では小説本の本文に使いやすいフォントを選ぶ際のポイントと実際によく使われているおすすめのフォント、そしてレイアウトを考える際のコツを紹介していきます。
本文のフォントを選ぶ際のコツ
フォントを選ぶときにまず第一に意識するべきは読みやすさです。小説は読み物であり、長時間の読書に耐えうるフォントを選ぶことが大切です。
筆記体など、装飾的なフォントは見た目が美しいものの、長時間の読書には疲れてしまうことがあります。シンプルで読みやすいフォントを選ぶことがオススメです。明朝体、ゴシック体が本文に用いるフォントとしては一般的です。
特に明朝体では縦書き用に特別にデザインされたバージョンがあるため、好まれることが多いです。
フォントはあくまでメインコンテンツである本文をフォローするための存在。見た目の美しさを優先しすぎて読みにくい印象を与えないよう注意が必要です。
小説本の本文にオススメの日本語フォント4選
明朝体は、筆画が細く、曲線的な特徴があります。また、明朝体は、ゴシック体よりも伝統的な日本語書体であり、古典的な印象を持たせることができます。一方、ゴシック体は、現代的で洗練された印象を持たせることができます。
Webサイトでは明朝体を本文に、ゴシック体は見出しに、という使い分けをすることが多いです。ゴシック体は固くて押し出しの強い印象があるため、見出しには相性が良い一方、本文全体に使うにはうるさすぎるという考え方もあります。
この記事ではそんななかでも本文のフォントによく使われている明朝体・ゴシック体のフォントを厳選して紹介します。なお、すべて無料での使用が可能です。
游明朝体(ゆうみんちょうたい)
游明朝体は、日本の書道家である玉堂仙の手書き書体をデジタル化したものです。落ち着いた印象の明朝体で、筆の跡がなめらかであることが特徴です。また、文字のバランスが良く、縦書きにも適した書体です。小説のような長文に適しています。
ヒラギノ明朝 ProN
ヒラギノ明朝 ProNは、日本語フォントのパイオニアであるヒラギノフォント社が開発した書体です。シャープで読みやすい明朝体で、縦書きにも適しています。文字のバランスが良く、視認性に優れているため、情報を伝えるテキストにも適しています。
源ノ角ゴシック(げんのかくゴシック)
源ノ角ゴシックは、Adobeが開発した書体で、日本語フォントの中でも新しい書体です。シンプルでスタイリッシュなゴシック体であり、視認性が高いことが特徴です。縦書きにも適しており、小説の本文にも情報を伝えるようなテキストにも適しています。本来、縦書きに合わないゴシック体を本文に使えるように落とし込まれた洗練されたデザインと言えます。
ヒラギノ角ゴ ProN
ヒラギノ角ゴ ProNは、ヒラギノフォント社が開発したゴシック体の書体です。源ノ角ゴシック同様に縦書きの長文での読みやすさを想定して作られたゴシックフォントで、文字のバランスが良く、シャープで読みやすいことが魅力です。
選んだフォントによるレイアウト調整のポイント
フォントを選ぶだけではプレビューを見てもいまいちしっくりこないという場合は、他の要素でレイアウトを調整する必要があるかもしれません。ここでは基本的な調整要素も紹介します。
行間や字間の調整
行間や字間の調整は文字の読みやすさに大きな影響を与えます。行間を狭めると文字同士が密集して読みにくくなり、逆に広げすぎると目移りしてしまいます。微調整を繰り返しながらあなたの文章にとってのベストを探しましょう!
禁則処理の設定
縦書きの場合、行末に「ん」や「っ」、「ー」などの禁則処理が必要です。禁則処理が正しく設定されていないと、文字の間隔が不自然に広がって読みにくくなります。禁則処理の設定によって、読みやすい本文を実現することができます。
ページレイアウトの設計
ページの左右バランスや章末の位置、段落の配置など、細かい部分まで配慮することで、読みやすく美しいレイアウトを実現することができます。すべてを理想通りにするためにページレイアウトを設計することは大変かもしれませんが、どうしても気になる段落終わり・ページ終わりができてしまった時にできることとして頭の片隅に置いておいてください。
今回紹介したフォントはゴシック体のものも含めて商業用の文庫本の本文でも多く採用されているものを厳選しています。レイアウトについてはすこし面倒な作業ではありますが手探りで色々調整を図りながら、あなたの小説の世界観にふさわしい装飾になることを目指してみてください!