原稿を進めるデザイン思考とは?わかりやすく解説|実践までのプロセス

「デザイン思考」という言葉をご存じですか?

「デザイン」と聞くと、色や形、絵などと言ったものが思い浮かびますが「デザインシンキング」と呼ばれ、商品などを使う側の目線からビジネス上の課題を見つけて、その解決策を考えることを言います。AppleやGoogleなどといったグローバル企業では以前から取り入れられているそうで、注目も集めています。

実はこの「デザイン思考」が原稿を製作する際にも役に立つのです。

もくじ

どうして「デザイン思考」が注目されているの?

デザイン思考の特徴のひとつが、すでにある商品のニーズをよりブラッシュアップさせていくことです。

例えば、ボールペンであれば、紙に文字が書けることはもちろんですが、その上で、「どうすればもっと書き心地がよくなるか」「どうすればもっとグリップ感が良くなるか」といったことを考えるのです。もともとあるものから、さらにアイディアを膨らませる、ということになります。

対するものとして、「アート思考」がありますが、こちらは実現性などを考えず、ゼロからアイディアを創り出していくことを言います。

生み出したいものによって「デザイン思考」と「アート思考」を使うかをチョイスすると良いのではないでしょうか。

どのようなステップを踏めばいいの?

デザイン思考を実践するには5つのプロセスを踏む必要があります。

共感

まずはそのものを使う人の共感を得なければなりません。

小説で言えば、読者がどういうことに共感するのか、また、どうしてその事象に対して共感するのかを考える必要があります。

例えば猫を見て「かわいい」と言ったとします。どうして「かわいい」と思ったのか、その理由を探る必要があります。

定義

「共感」が何か分かったら、次はユーザーのニーズを定義していきます。つまり、何が課題なのかを探っていくのです。

例えば、ひとつのボールペンに対して、絵柄や色味の指摘があった場合はデザイン性を見直さなければならないことが分かります。

概念化

ここでは定義で固まった仮説をどうすれば解決できるかを探っていきます。

あまりひとつの考え方に固執せずに、自由に考えていくようにしましょう。さまざまな案を出すことで、異なった角度から解決策を出すことができます。

もし、ひとりであまり案が出ない場合は、周りの人の力を借りて、多数でブレストを行ってみると良いでしょう。

試作

概念化で決めた解決策を実際に試してみます。

しかし、あくまで「試作」です。完成させよう、と思わずに、まずは作ってみることが大事です。形を作ることで、新しいアイディアも浮かんでくるはず。

テスト

実際に試作品をユーザーに使ってもらいます。そしてそこから、よかった点、悪かった点をフィードバックしてもらって、その点を反映してまた新たに試作を製作します。試作とテストを繰り返すことでより質が良いものを創り出すことができます。

どうやって原稿に取り入れるの?

このデザイン思考のプロセスを原稿にどのように活かしていけばいいのでしょうか。

5つのプロセスに当てはめて考えてみましょう。

まず、最初にすることは、物語の土台を作ることです。恋愛モノか、スポーツモノか、はたまたミステリー、ホラー、サスペンスetc.

そしてどういった人が読むことを想定しているかを決めます。それからプロセスのスタートです!

共感⇒読者が共感してくれるのはどんな話か

想定している読者層がどのような物語を求めているのかを探ります。

恋愛モノであれば、純愛か、不倫か、ドタバタラブコメか。どうしてそういった作品が好まれるのかを考えます。純愛にしても、どのような設定が考えられるのか、細部にわたって共感ポイントを探っていきます。

この際、さまざまなヒット作から紐解いてみるのもあり、自身でアンケートをとってみるのもいいかもしれません。

定義⇒その物語がエンディングを迎えるために必要なものは?

共感ポイントをまとめることができたら、その物語がエンディングを迎えるためには何が必要かを考えていきます。

始まりと終わりが決まっていれば、その過程を考えていくわけですが、恋愛作品が好きになって、告白をして、OKをもらってハッピーエンド、だけではやはり終わらないはず。その過程に何が起こるのかを考えていきます。

概念化⇒エンディングまでの道のりを進むために

始めから終わりに向かって物語を進めていく中で、どのようにして起こった事件を解決していくかを考えます。

例えば、告白の方法にしてもひとつではありません。そして、どの告白の方法を選ぶかによってその先の選択肢も変わっていきます。物語が進んでいくにつれて、どんどん道筋が細かくなっていきますし、最初に想定していたものと変わる場合も。しかし、それは物語をよくしていくためには必要な作業なのです。

試作⇒原稿を書いてみよう

概念化までを終えたら、原稿に着手しましょう。ここまででおおよそのプロットはできているので、原稿に移ったとしても手が止まることはないはず。

「試作」ですので、あくまで初稿と考えて肩の力を抜いて取り組んでみましょう。

テスト⇒原稿を読んでもらう

書いた原稿を周りの人たちに読んでもらいましょう。フィードバックを元に原稿をブラッシュアップしていきます。

もちろん、自分で読んで、フィードバックを行うのでも問題はありませんが、ひとりで推敲を続けると「これっておもしろいの!?」という迷いが生じてくる可能性が。

もともとある作品のブラッシュアップにも

デザイン思考は、既存作品をよりよくするためにも役立ちます。

本来の「商品」をよりよくするという思考と同じです。

共感⇒この作品の共感ポイントは?

作品の共感ポイント、もしくは共感してもらえないポイントをピックアップしていきます。

共感してもらいたいなら、どのように共感してもらいたいのかを考えてみましょう。

定義⇒共感してもらうための課題

なぜ既存の作品では共感してもらえないのかを考えてみます。そうすると、自然と共感してもらうための課題が見えてくるはず。読者が求めていることが何か分かれば、作品もグッとよくなっていくはずです。

概念化⇒作品をよりよくするためのアイディア

共感、定義を踏まえて、どうすればより作品を良いものにできるか、課題解決案を考えていきます。

できれば、既存作品を読んでくれた人と一緒にブレストを行いましょう。そうすることで、自分だけでは思いつかなかったアイディアが生まれるはずです。

試作とテストの繰り返し

概念化までできたら、あとはひたすら原稿のブラッシュアップです!

こちらも、複数の人に読んでもらうと良いでしょう。そしてフィードバックを反映していきます。ただ、あなた自身の作品であることを忘れずに。

フィードバックを重視するあまり、自分の個性がなくなってしまわないように気をつけてください。

物語には協力者が必要?

原稿を書くのはひとりで行う孤独な作業……と思っている人も多いかもしれません。

しかし、デザイン思考は自分以外の第三者の存在が大切になってきます。

自分の作品を読んでもらうのは恥ずかしい……と思うかもしれませんが、ぜひ信頼できる読者を見つけてみましょう。きっとあなたの作品をよりよくする味方となってくれるはずです。

そして、できれば、さまざまな物語を好む人に声をかけてみるようにしましょう。そうすることで、より多様な物語の展開を考えられるはずです。

プロセスを決めることで原稿を進めやすく

ここであげた原稿製作のプロセスはひとつの例です。ただ、考え方のプロセスが決まっていることで、次に何をすべきかが見える化され、進めやすくなります。 いつも同じところで作業が止まってしまう、最後まで書きあげることができない、という人はぜひ試してみてくださいね。

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