さて、小説を書こう!
……そう思ってパソコンやスマホ、原稿用紙に向かってみてもなかなか書き出せない、という人もいるのではないでしょうか。
そして書き出してみたのは良いものの、「果たしてこれは小説なのか!?」とドツボにハマッてしまうこともあるはず。
まずは何からはじめればいいの?これだけは気をつけてみよう!というポイントをご紹介します。
話の流れを考えよう
思いつくままに書き始めれば、あとは登場人物が勝手に動いてくれるはず……と思うかもしれませんが、勝手に動いてくれるのは作者の頭の中にしっかりとお話の流れができあがっているからです。目的地がなければ、どこにもたどり着くことはできません。
簡単なものでも構いません。
例えば、「主人公とAさんが出会う」⇒「Aさんに恋をする」⇒「Aさんに告白をする」⇒「付き合う」というごくシンプルなものでも大丈夫。
少しでも流れが決まっていれば、めちゃくちゃに破綻してしまうことはないはず。
スタートは「何が書きたいか」からで大丈夫。異世界転生もの、学園ラブストーリー、SF、ミステリー……ジャンルが決まれば、それだけで方向性が見えてきます。
主人公のキャラクターを考えよう
友達と一緒にいるときに、らしくないことをされると違和感を持ちませんか?小説の登場人物も同じです。
物語の中でらしくない行動をされると、「ん?」とつまずいてしまいます。それはどのキャラクターにも感じることですが、物語の主人公となると、その違和感はさらに大きくなるはず。最悪、物語の流れが頭に入ってこない、なんてことも。
また、主人公の納得できない行動というのは感情移入もしづらく、いいことはありません。
どうやって主人公のキャラクターを決める?
名前、性別、年齢から始まり、誕生日も決めておくと、星座が分かるのでキャラクター作りのヒントに。
また、その人が抱えている悩み、強み、弱点、コンプレックスなども決めていきましょう。さらに余裕があれば子どものころの年表を作っていくとよりディテールがはっきりとします。
例えば、高校が私立だったか公立だったか、友達は多かったか、少なかったか、文系か理系か、などを少し決めるだけでも性格の方向性が定まります。まずは思いつくままに挙げていって、あとから整理してみるのも◎。
主人公はあくまで主人公らしく。
臆病で弱い剣士Aがどうして強く成長し、強大な敵を倒すことができるのか……。主人公だからです。
臆病で弱いから、勇者の後ろにくっついていきました、という物語でも問題はありません。ただ、その場合は勇者についていって何を得たのか、を記すことが大事。
ただ勇者が魔王を倒すのを見守っていました、では視点は剣士Aだったとしても主人公は勇者になってしまいます。剣士Aは単なる語り部にすぎません。勇者がどんなに強かったとしても、魔王を倒すのは剣士Aです。そうなるような物語を作るのが作者の役割なのです。
「俺は強い!」をアピールしすぎない
弱い剣士Aがパッとしないというなら、強すぎる勇者を書けばいいんだろ?となるかもしれません。かっこよくて強くて、大した困難もなく魔王を倒す勇者。強いなら、そんな物語になるかもしれないでしょう。
ですが、あっさりと魔王を倒してしまうような冒険譚、誰が読むのでしょうか。最初と最後を読めば満足してしまいます。
もちろん、主人公は主人公らしくいなければありません。
でも、主人公だって人間。悩みもありますし、調子に乗ることだってあります。そういった人間らしい側面がないと、読者も感情移入することができないでしょう。あくまで人間らしさを忘れずに。
書きたいもの書ければいい、というエゴ
作者は俺だ!読者に媚びないぞ!俺は書きたいのを書く!
それでもいいかもしれませんが、「じゃあどうして書いてるの?」となりませんか?もしかすると、誰にも読んでもらわなくてもいい、と思う人もいるでしょう。
書いただけで満足。それならそれでOK。でもそういう人は、「小説の書き方が分からない」と悩むことはありません。自分が読めれば問題なし。
でも、少しでも自分以外の誰かに読んでもらいたい、と思うなら、推敲をして「読みやすいかどうか」を確認しましょう。正直、文章が下手か上手いかはどうでもいいところ。読みやすくて、話がおもしろければ問題ないのです。
どうしても書けなかったら、まずは王道から攻めよう
アッと驚かせるような作品を書きたいという気持ちは誰しも少なからずあるもの。大どんでん返しは、読んでいても気持ちいいものですもんね。
でも、いきなりそんなびっくりさせることができるようなものは書けません。というわけで、何から始めればいいのか。王道を書いてみましょう。
ある意味、織田信長が本能寺で明智光秀に討たれたのはどんでん返し。書くなら、織田信長が天下統一をする話を書いてみましょう。
捻りがない、と思うかもしれません。しかし、予想通りに進む物語は、ある種の気持ちよさがあることも間違いありません。
ここはどこ?場所を明確に。
今、キャラクターたちがいるのはどこでしょうか。
家にいるなら家のどこ? リビング? リビングには何があるの? などなど、文字だけで説明する以上、読んでいてパッと情景が思い浮かぶようにするのがベスト。
「部屋に戻った」と書いたところで、それは家の中のどこの部屋なのか、二階なのか、リビングの隣の部屋なのか。
登場人物を作るときに、作中に登場させる場所の見取り図などを書いてみるようにしましょう。家なら、間取りを。それだけで物語のディテールが明確になりますし、書いている側としても、物語が広がりやすくなります。
呼称をブラさない
マンガと違い、登場人物の姿が見えません。
「山田太郎」のことを「太郎くん」と呼ぶ人もいれば「太郎」と呼ぶ人もいるでしょう。その呼び方が作品の中でブレてしまうと、誰が誰なのかを把握するヒントがなくなってしまいます。物語の途中で呼び方が変わる際は、ちゃんと解説を。例えば、太郎くんとの関係が友達から恋人同士になれば、呼び方も変わるでしょう。変える場合は物語を盛り上げる要素として取り入れてみてください。
また、一人称も大事。「俺」と「僕」では印象も変わりますし、キャラクターの性格形成の一部も担っています。細かいところこそ、丁寧に描いていくようにしましょう。
矛盾点は減らそう
「おかしいな」と思うと、とたんに物語が頭に入ってきづらくなります。そもそも、矛盾があれば、話は破綻してしまうはず。
作者が自分の都合で物語を動かしてしまうと、矛盾も発生しやすくなります。「こうしたほうが都合がいいな」と思ったときは、一旦手を止めて考えてみましょう。もしかすると、都合が悪いほうが、話としては矛盾なく進んでいるかもしれません。
最後まで書きあげよう
「小説の書き方って?」と悩んでしまうのも良いのですが、まずは最後まで物語を書いてみましょう。話はそれからです。完結していない小説は誰にも見せることができません。
書き上げて小説を読み返そう
自分で書いた小説を読み返して、「おもしろい! 天才!」と思えるなら問題ありません。
でも「ここが変だな」「こうしたほうがいいのかな」と思った場合は、突き詰めていくようにしましょう。作者が違和感を感じた、ということは読者も当然感じるはず。細かいところを整理していくことで、より自分が求めている小説に近づいていくことは間違いありません。
それこそ、書いているときに気がつかなかった矛盾にも気付けるはず。矛盾を正そうとしたら、話の流れが変わるかもしれません。でもその分、読者が納得できる物語になったと考えましょう。
大切なことは「事前準備」
あれこれと挙げてきましたが、大切なのはとてもシンプルなことです。
まず、小説を書く前の準備は丁寧に。
話の流れをきちんと考え、登場人物のディテールを詰めていきましょう。それだけでも物語の土台はしっかりします。
そして、最後まで書きあげましょう。物語は完結しないとおかしいところにも気がつけません。
最後はしっかりと読み返して修正を。物語として整合性が取れているかどうか、という点はもちろんのこと、誤字脱字もチェック。
丁寧にやればやるだけ、あなたが書いた作品は輝いていくはずです。